神経疾患の診断と治療の新たなアプローチ

Colorado State University Veterinary Teaching Hospital 鵜飼 正保先生
現在、獣医神経科の診断や治療効果の評価は、主に飼い主からの情報に頼っています。たとえば、てんかん発作の診断では、飼い主が目撃した発作の様子を言葉で説明し、それをもとに獣医師が判断します。しかし、発作は突然起こり短時間で終わるため、動画で記録するのが難しいという課題があります。 また、治療の効果を判断する際にも問題があります。抗てんかん薬の毎日の投薬管理は簡単ではなく、家族で分担している場合は「飲み忘れ」や「重複投与」が起こることもあります。さらに、発作の頻度やタイプの変化を正確に記録するのも難しく、治療の調整に必要な情報が不十分になることもあります。
こうした課題を解決するために開発されたのが、「animo(アニモ)」です。このアプリは、発作が起きたときにすぐに動画を撮影・保存できる機能があり、発作の発生日時や持続時間も自動で記録されます。これにより、てんかん発作と他の神経症状との違いを見分けやすくなり、診断の精度が高まります。
また、治療の面でも「animo」は大きな助けになります。アプリ内のダイアリー機能を使えば、毎日の投薬スケジュールを簡単に管理でき、飲み忘れや重複投与してしまうといったミスを防ぐことができます。さらに、発作の頻度や様子の変化も記録できるため、治療の効果をより正確に把握することが可能になります。飼い主さんが記録した投薬履歴や動画は一覧で確認できるようになっており、診察時だけでなく、診察外の相談にも役立ちます。これにより、獣医師との情報共有がスムーズになり、診療の効率も向上すると思います。